事務員ですが、お願いします。

しがない事務のネガポジな日々。

キュートハートを持ってこい。

 

 自分にもこどもだった時分はある。

齢数歳にして金こそが正義、という精神を発揮しうっかり小銭を飲み込んで救急車で搬送されたり、滑り台を颯爽と滑ったら何故か背骨が曲がって立てなくなり病院へ運ばれたり。

思春期になりゃ、学校行きたくねえー、ねむてー、ってな感じで、あれこれサボってみたり。遅刻も大分、堂々としていた。親も親で放任主義というのか、自分には年齢が二つ上の姉がいるのだが

親サイドは第一子たる姉を育ててみた結果、ちょびっと干渉しすぎてしまったと判断したらしく、第二子たる俺には基本ノータッチ。宿題(算数)の教えを乞うても辞書で引けという放置っぷり。

タッチすることがあっても、まあ、フェザータッチくらいのソフトさ。そもそも二番目というポジションは割合空気を読まざるを得ない生き方を強いられるもんであり、挙句その後弟も生まれ

見事真ん中の子として育てられた俺は微妙にふわふわしつつも、程よく静観を決め込む両親のお陰でそれなりにしっかりと育っていった。つもりである。あくまで、つもり。

だからなのか元来の性格なのか知る由もないが、日常的に、人の振り見てポカーンとなってしまうことが多々ある。特筆すべきは姉と弟の甘えスキルの高さ。

記念すべき第一子、目に入れても痛くない姉。そして俺が生まれて暫く経ってから産声を上げた、可愛い弟。おねだり上手の名を欲しいままにする二人。

やれ買いたいものがあると母に歩み寄り、姉「いいなあ、あれ買って~!」 やれ欲しいものがあると祖母に歩み寄り、弟「お金ちょうだい」

二人の華麗なるおねだりテクニックを目の当たりに某ハンター漫画のアルカとナニカを初めて見た時のように戦慄く、俺。

自分はほしいものがあろうと、それを口にして図々しいと思われることこそが恐ろしく、もじもじしているようなこどもだった。

それは成人した今も変わらず。母と出掛けるといっちょ自分の子を可愛がってやるかっつー親心が働くようで、ちょっと気を許して「これいいな」だとか囀ろうもんなら

「買ってあげようか!?」の嵐。向かい合って飯を食おうもんならお互いに財布を出し、レジを前にしたバカップルの茶番かってくらい壮絶な伝票の奪い合いが繰り広げられる。

わかってるんです。たまには、「いいの? ありがとう!」って素直に喜んでみせるくらいが、可愛いって。親だって、そうやって俺が笑えばそれなりに嬉しいんだろうって。

可愛げ、何処かに落ちてませんでしょうか。